開業者インタビュー

空中階でも予約満席を記録する日本酒100種飲み放題店。人材不足問題を解消するフードビジネスとは?

神﨑 勇人
空中階でも予約満席を記録する日本酒100種飲み放題店。人材不足問題を解消するフードビジネスとは?

人に依存しないビジネスモデルで成功!


昨今の外食産業で大きな課題となっている人材の問題。そこに着目し、最小人員でオペレーションが成立するフードビジネスという考えの下、オーナーの神﨑勇人さんが立ち上げたのが「日本酒専門 のすけ」だ。

同店は、100種類の日本酒が3000円で飲み放題できるセルフサービス店。入店してすぐ横のショーケースに並ぶ日本酒から、好きな銘柄を好きな量だけ取って飲めるシステムだ。時間は無制限。何杯飲んでも、何時間滞在しても、定額であることが強みとなっている。
フードは卓上の伝票に手書きし、お客自らがレジへと注文を通す。客席からレジを通り、その先にショーケースを配置する動線で、フードの注文もスムーズに行なえるようなレイアウトにしている。

「元々焼鳥のフランチャイズ店を経営していましたが、近年では慢性的な人手不足に陥っていました。また焼鳥は技術が必要なので、焼ける人がいないと成り立ちませんし、焼き場に1人固定されてしまいます。人件費も高騰しているため、人を増やすと利益を圧迫してくる。そんななか、僕が入院を余儀なくされ『飲食の現場はこのままでいいのか?』と考えるようになったんです。家庭もありますから、失敗もできないなと。そこで、人に依存しないビジネスモデルを考えたのが『のすけ』です」と神﨑さん。
ドリンクのサーブをセルフにすることで、スタッフ人員は平日で2人体制。人件費を大幅に下げられる分、日本酒や料理に原価をかけお客に還元している。

 

無制限飲み放題で客単価増を狙う


日本酒100種、飲み放題、時間無制限、定額3000円。

このキャッチーなセールスポイントは、SNS受けがよく情報拡散効果を発揮。これにより、SNS世代の20代を中心に予約が殺到した。多種多様な日本酒を楽しめるという“顧客体験”にもはまり、着実にお客を増やしている。
日本酒は80種が固定で、20種は季節ものを頻繁に入れ替えることで、リピーターを誘引。産地や味わいは限定せず、神﨑さんや酒屋のアドバイスでセレクトしている。

日本酒メニューは、1枚の紙にナンバリングして表記。日本酒ボトルにその番号をつけることで、お客が迷わず選べる工夫をする。
また時間無制限のシステムも、利益を生み出すポイント。
「回転率で勝負するより、このお店で完結してもらうことを考えています。例えば一軒目で3000円、2軒目で2000円と使ったのと同じ額を、うちで使っていただけるよう時間を設定していないのです。結果、客単価は想定通り5000円に落ち着いています」と神﨑さんは言う。

一方で飲み放題だけでは薄利になる。そこで、飲み放題注文の際はフード3品以上オーダーをルールとして設定。フードの最低価格商品を3品オーダーしても、ミニマムの客単価が4000円になる設定にしている。

 

看板は、近隣飲食店のどこよりも安い刺身盛り合わせ


フードの看板は「川崎幸市場」より仕入れる新鮮な魚介の刺身。「界隈の飲食店のなかで最安値にした」(神﨑さん)という刺身の盛り合わせは、3種盛り750円、5種盛り999円という値付けで、オーダーを獲得する。
その他は、日本酒に合う料理を前提に、珍味や野菜など約50品をラインアップ。

「メインのお客さまが20代ということもあり、思った以上に肉料理を所望する声が挙がっています。そのため今後は肉料理にも力を入れ、メニューをブラッシュアップしようと考えていますね。元々焼鳥屋の出身なんで、その経験も活かせると思います」(神﨑さん)。

昨今、セルフオペレーションの日本酒飲み放題店の出店が目立ってきているが、JR川崎駅周辺には競合がない。
わざわざ同店を目指して来るお客もいるほど、日本酒のラインアップや料理のクオリティなど、トータル満足度の高い店として認知度を上げてきている。

 

飲み比べセットの導入で客層拡大。
ゆくゆくは展開も視野に。


立地はJR川崎駅の「ラゾーナ川崎」を過ぎたビル2階。駅前商業施設があることで、その先まで足を運ぶ人は少ない住宅街エリアだ。それでも集客できているのは、先述した通りのセールスポイントが磁力となっているためだろう。

近隣住民に対してのアプローチとして新たな試みも開始。それが「3種飲み比べセット」1000円だ。
「近隣の方が日常的に使えるよう、ちょっとだけ飲めるメニューを8月より導入しました。このセットもお客さまが自ら飲みたい日本酒を選べるので、スタッフの作業負担もかかりませんし、客層拡大につながっています」(神﨑さん)。

同店の成功を受け、展開にも意欲的だという神﨑さん。日本酒飲み放題だけでなく、出店地域で必要とされる新たな業態にもチャレンジしていきたいと話す。

日本酒専門 のすけ

公式サイト/食べログ/ぐるなび

店舗情報


  • 住所: 神奈川県川崎市幸区中幸町3-32-4 西口共同ビル2階(アネックスプラザ川崎)
  • 電話: 044-276-8391
  • 営業時間: 平日:17:00〜24:00 土日祝:[ランチ]12:00〜16:00、[ディナー]17:00〜24:00
  • 業種: 日本酒バー
  • 地域: 川崎
  • 面積: 85.42m2 / 25.84坪
  • 初期設備: 居抜き
この記事で紹介された人
神﨑 勇人さん

1981年、千葉県生まれ。大学卒業後、大手外食チェーンで3年勤務。 飲食店で独立する予定だったが、資金調達のためにリサイクル業を立ち上げた。3年経営を続けた後、東京・練馬で焼鳥のフランチャイズ店をオープン。5年経営したが、体調不良により入院。2018年2月に閉店。 同年4月2日に「日本酒専門 のすけ」をオープンする。 もっと読む

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