三軒茶屋の一番人気
「三角地帯」エリアの居心地抜群の店
東急田園都市線で渋谷から急行1 駅、交通至便な三軒茶屋駅前に「三角地帯」と呼ばれる繁華街がある。国道246 号線と世田谷道路に挟まれたエリアに、エコー仲見世、三和会アーケード街などの商店街が集い、夜になると赤提灯が灯って、多くの酔客たちで賑わう。なかでもディープな居酒屋が軒を並べるのが「なかみち街」。その一角のビル2 階に構えるのが、大衆居酒屋「魚ぎょ( ぎょぎょ) 三軒茶屋店」である。
内に入った瞬間から、「あ、いい店だ」と感じさせる何かがある。壁一面に所狭しと貼られた品札、カウンターにずらりと並べられた日本酒や焼酎の瓶― ― ひとつひとつは居酒屋によくあるアイテムでありながら、ほどよい席数の店内と相まって、すべてが調和して心地よい空間をつくっている。この繁盛店をプロデュースするのは、オーナーの上林研司さん。今年36 歳の新進経営者である。
「店名“ 魚ぎょ” は、よく、さかなクンが由来? と言われるのですが、まったく関係なくって。最初、昼が魚料理を出す「魚ぎょ」、夜が鶏料理の「鶏どり」、深夜がお酒をしっぽり呑んでもらう「酒しゅ」という三毛作の店を考えていたんです。でも、先輩から“ どれかに集中してやれ! ” と叱られ、これまでのキャリアを踏まえて選んだのが、魚だったんです」。自店の名づけの経緯をユーモアたっぷりに語ってくれた上林さんは、大学卒業後、大手居酒屋チェーンで勤務したのち、割烹店に入店。異色の“ 大卒板前” として苦労しつつ、和食の調理技術を磨いた。その間も開業の夢を忘れず、仕事の休憩時間に勉強や物件探しを続け、2 0 1 1 年2月、満を持して、地元であり土地勘もあった世田谷の地に、はじめての店である魚ぎょ初号店( 現在の若林本店) をオープンさせた。