Before & After
前店舗からどのように生まれ変わったのか、実際の店舗写真を比較します。

外観

Before

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After

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前店舗は、寿司・らーめん店。黒塀風の外壁を穏やかみのある黄色に塗り上げ、オリーブなどの植物鉢も置き、明るい印象のイタリアンレストランとして生まれ変わらせた。

店内

Before

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After

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店内は、カウンター、間仕切りの壁などを含め、いったん全てを撤去。スケルトン化して一から理想的な店舗をつくりあげた。営業時には写真よりぐっとライティングの照度を落とし、大人のための社交場としての雰囲気が高まる。

Before

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After

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「本当はもう4坪ほど広いとベストだった」という店内は全14席。席間の壁をなくし、左右両サイドの壁面をベンチシートに替えたことで、中央の通路を広く取った余裕のある席配置となっている。

レビュー

『Brio kitchen』は、東急東横線都立大学駅から徒歩10分、区立「めぐろパーシモンホール」を通り過ぎて信号を渡った先に開く小さなイタリアンレストランである。開業は2015年3月1日。オーナーシェフの中島郷さんが厳選した国内外の季節の食材でつくる料理や、120種に及ぶワインセレクションが人気の店である。

イタリア現地さながらの明るく柔らかな黄色が印象的な店内は、シンプルながらほっとできるムードに満ちており、自慢の料理やワインの味を引き立てる。意外なことに、前店舗は、真逆の和業種である寿司・らーめん店。造作はまだ十分使える状態ではあったが、譲渡料が0円だったこともあり、オペレーション上の効率を高めるため、いったんスケルトン状態に戻して、一から店舗づくりを行うことにしたという。

驚くべきことに、内外装工事は、大工と中島さんの2人だけでやってのけた。石膏張りなど大がかりな部分は大工に任せたが、店内の図面引きや壁塗り、床張りなどの作業はすべて中島さんが行った。工期は2ヶ月かかったが、自分たちでやる価値は十分にあったという。「これまで何軒も飲食店のオープニングを見てきて分かったことですが、突貫工事をするとどうしても2年後くらいにほころびが出てくる。でも、特急で綺麗にとなると、莫大な費用がかかる。デザイナーに頼めば、その委託料もかかってしまう。それなら、その分の空家賃を払ってでも、自分たちで丁寧にやった方がいい」との考えにもとづいての試みだった。

結果、スケルトンからの店舗づくりとしてはかなり抑えめの350万円で内外装の施工を完了することができた。厨房機器も総入れ替えしたが、綿密な価格調査や交渉により、300万円と通常より低コストで購入できた。これに物件取得費350万をプラスした1,000万が全体の開業費用である。

大胆な改装工事により、今ではここがかつて和食店だったとは想像もつかないが、唯一、わずかにその名残りが見られるのがファサード上部の白壁や黒瓦である。これらのパーツは、だいぶ以前、この物件の大家自身がここで店をやっていた時代に据えつけられた思い出の品のため、変えないでほしい、と大家から要望を受けて、現状のとおりとなっている。確かに全てを一新できたらベストだったかもしれない。だが、これはこれで、「普段からとても仲良くしてもらっている」という大家と中島さんの協調関係を示すものとして、微笑ましくも映るのである。