インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

階段のイメージと反したシンプルな店内
5路線利用可能な便利な街・蒲田

「アジアンダイニング&バー シバーサクティ 蒲田店」はJR蒲田駅の東口を出て大田区役所沿いを歩けば2〜3分で到着する。店のあるビルは東口ロータリーと環八を結ぶバス通りから少し入っているため、駅近にも関わらず雑然とした雰囲気はない。1Fのレコード屋さんと隣のビルの中華料理屋さんの間に入口があり、鮮やかな朱色の階段を上ると店主・スベディさんの笑顔が出迎えてくれる。店内は左右に分かれており、階段の印象とは一転してシンプルな内装だ。壁、テーブルと椅子は白と白木を基調とし、床は落ち着いた焦げ茶の木材で、スッキリとまとめられている。多国籍料理の店は各国のポスターや雑貨が多数飾られていることが多いが、スベディさんが「飾り付けは好きじゃない。シンプルな方が好きなんです」と今の雰囲気に落ち着いた。

蒲田は23区で最も広い大田区内で大森と並ぶ中心地であり、中小の町工場の多いエリア。JR京浜東北線、東急池上線・多摩川線、京急本線・空港線の5線が利用可能なアクセスの良い街だ。小さな飲食店が多くガチャガチャした街というイメージを持たれているが、駅ビルは2008年にグランデュオ蒲田にリニューアルされて、東口には区役所や区民ホール・アプリコなどの行政施設も建ち並び、少しずつイメージが変わってきている。近年は羽根付き餃子発祥の地としてグルメ番組などでも度々取り上げられ、食べ歩きに訪れる人も増えている。

駅近で広くてきれい!やっと巡り会えた物件
左右のフロアで様々なお客様に対応

スベディさんはネパールのご出身。日本で自分の店を持ちたいという目標を掲げて約10年前に来日した。その後はスベディさん曰く“普通の居酒屋”で8年以上勤め、接客や料理、経営のノウハウの経験を積み、コツコツ貯金をして開業に備えた。

スベディさんの物件の条件は、駅から近く比較的広い店舗。大手町で働いていた経験から、ランチの集客が見込める行政施設やオフィスが多い場所が希望だった。蒲田を選んだのは、スベディさん自身がもう10年近く住んでいて、蒲田駅東口に競合するカレー屋さんやアジアン料理の店が少ないことを知っていたからだ。ただ蒲田には小さいお店が多く、希望している25坪以上の物件とはなかなか巡り会えなかった。
そんな中紹介され内見に来たのが今の店舗だ。第一印象は「広くてきれいでビックリした! 」。駅から近く、目と鼻の先に区役所があり周辺にはオフィスもある。初期費用も予算内に収まっていて、いい場所が見つかったとホッと胸を撫で下ろした。惜しむらくは2Fにあり入口が少し分かりにくいこと。しかしこれ以上の物件は望めないと即決した。

内装やテーブルや椅子だけでなく、厨房機器もほぼそのまま使えたのは有り難かった。居抜きの場合、当たり外れがあるからだ。インド・ネパール料理に使うタンドール釜だけは必須のため、不要なものを整理して釜を入れる場所を作った。
入って左のフロアに大きなワインセラーがあったが使わないため、撤去して2人席を2テーブル増設した。鏡前の席は椅子から下を物入れにしたベンチシートに作り替えた。
右のフロアはほとんど手を入れることなく使っている。一部天井にカーテンレールが付いており、少人数のパーティー時にはカーテンで仕切って個室のように使える。
ランチタイムは全フロアを使い、夜に団体のご予約が入ると右のフロアをご予約用に、左のフロアをフリーのお客様用にと使い分けている。この界隈で大人数が入れるお店が少ないこともあって、20〜40人という団体のご予約も少なくない。スベディさんがこだわった広いお店を、という狙いが見事にはまった。

4カ国の料理は約80種類!
分かりやすく工夫した写真付きメニュー

スベディさんは、自分でお店を出すならカレーやガパオなど日本人に人気のあるメニューを中心に、故郷ネパールも含めたアジアン多国籍料理の居酒屋にしたいと考え、実現した。現在扱っている料理はインド・タイ・ネパール・ベトナムの4カ国で、ディナーメニューの数はセットを除いても約80種類にも及ぶ。
オープン当初は、インド・タイ・ネパールなどで修業した2人のシェフを誘い、お店を立ち上げた。現在はシェフが替わっているが、1ヵ月に渡って全てのレシピを受け継いだため、メニューも味も全く変わっていない。

ランチは大きく分けてインドとタイがあり、インディアランチには全てのセットにサラダ・ナンまたはライス・ソフトドリンクが付き、カレーは7段階の辛さから選べるようになっている。インディアランチの人気メニューは、タンドリーチキン・シーケバブ・お好きなカレー3種類・デザート付きの“スペシャルセット”、2種類のカレー・チキンティッカ・デザートが付いた“チーズナンセット”など。カレーはシーフードとバターチキンの人気が高い。タイランチにはサラダとソフトドリンク付きで、人気メニューはタイカレーが付いた“ガパオセット”と“トムヤムラーメン”だ。

夜は各国のおつまみ・お食事メニューが豊富に取り揃えられている。料理名だけでは分かりにくいため、ほとんどのメニューに写真と説明文を入れ、興味を持ってもらえるよう工夫した。そのため色んな料理を食べてみたいとリピーターのお客様が増えた。たとえばネパール料理の“モモ”は名前だけでは分かりにくいが、味付けした挽肉をもっちりとした皮で包んだ蒸し餃子。これも人気メニューの一つだ。ナンは7種類もあり、和風素材を組み合わせおつまみになるナンなど工夫されている。ドリンクは、ネパール・タイのビールから親しみやすいサワー類まで豊富な品揃えだ。

テコ入れで予約数が激増
次は60人以上の団体予約が取れる店を!

オープン当初、駅前やバス通りでクーポン付のチラシを配付したが客足は芳しくなく、1ヵ月ほど様子を見てテコ入れした。まずはグルメサイトへの登録。ネット検索・予約が可能になったことで、団体の予約が入るようになった。今では品川・羽田・川崎などからも予約が入り、大きな変化をもたらした。デリバリーサイトへも登録し、2キロ圏内へのデリバリーサービスも開始。みな日本の免許を取っていないため自転車で配達している。デリバリーはディナーメニュー98種類から選べ送料は無料。特に土日は大忙しだ。

現在のスタッフは全員ネパール人。それぞれインドやタイで修業後に来日し働いていたメンバー。スタッフ同士は母国語で会話ができるため行き違いがなく、和気あいあいとしたよい雰囲気だ。外国人がお店を開く際に大変だったことを伺うと「外国人であることは多分あまり関係ない。一番問題なのはビザかな。自分もスタッフも働くために必要ですから。私はいつもお店にいますから、困ったことがあったら相談に来てください」とスベディさんは照れたような笑顔でそう言った。
今後は、今のお店では受けられない60〜70名の団体予約が取れるお店を、できれば東京・有楽町界隈に出したいと意欲的。オープンから1年経たずして、スベディさんの次への挑戦は始まっている。
(取材日:2016年11月12日)

ラジウ・スベディさん
ネパール出身。日本でお店を持ちたいと来日。居酒屋で働きながら飲食業のノウハウを学び、2016年1月に念願だった自分の店をオープンさせる。日本人に人気のタイ料理やインド料理、そして故郷のネパール料理もメニューに入っており、メニューの種類が豊富。お得なランチやデリバリーサービスで人気を集めている蒲田の注目店だ。

アジアンダイニング&バー SHIVA Shakti 蒲田店
住所:大田区蒲田5-45-1 ymビル 2F
TEL:080-5977-4380
営業時間:ランチ/月~金 11:00~16:00/土・日・祝日 11:00~17:00
ディナー/月~日 17:00~23:00
定休日:無休
店舗情報:食べログ