インタビュー
居抜き開業を成功させたオーナーに、成功の秘訣や開店までの裏話などを伺います。

女性お一人様から男性グループまで
早くも常連客が愛する店に

新宿から東京メトロ丸ノ内線で3駅という好立地にある新中野。駅前には小規模ながら下町の雰囲気漂うアーケード商店街が広がり、周辺には住宅や中小企業の事業所が立ち並ぶ。

このエリアに2016年9月14日にオープンした『中華料理HACHI』は、新中野駅から青梅街道沿いに歩いて約5分のビル1階にある。都営大江戸線・東京メトロ丸ノ内線中野坂上駅からも徒歩10分程度の場所だ。入口は青梅街道から少し脇に入った道路に面しているため、落ち着きが感じられる。

オープン以来、優しい味の料理と丁寧な接客スタイルで周辺住民や近所のワーカーたちの心をじわじわと掴み、今ではリピーターの多い店へと成長している。オーナーの前田将太さんに、開業経緯や今後の目標についてうかがった。

ホテルや個人店で地道に実力をつけ
“30歳で独立”という夢を見事実現!

前田さんは高校卒業後、調理の専門学校で和洋中幅広く学んだ後、地元福岡の有名ホテルに就職。約6年半にわたり中華料理を担当した。その後上京し、東急東横線都立大学にある中華の名店「チャイニーズレストラン わさ」や小田急線成城学園前の「墨花居」で研鑽を積んだ。

料理の世界に入った頃から漠然と「30歳で自分の店を持ちたい」という目標を持つようになったが、個人店『わさ』で働くうちにその思いが強くなったという。

開業準備は「墨花居」を退職することが決まり有休を消化している間に物件探しから始めた。憧れもあって最初は港区で探したが条件が合わず、エリアを広げたところ現物件に出合った。
「中華料理店の居抜き物件だったことが大きな決め手となりました」と前田さんは語る。

さらに、駅からほどよく離れているという点も気に入ったという。
「駅前には競合店が多く、価格競争に巻き込まれかねません。また一見さんの割合が多くなり、リピーターがつきにくくなってしまうと考えたのです」
こうして条件に合う物件が見つかったのだが、偶然にもそこは自宅から自転車で通える距離だった。

開業準備は予想外のことが起こる
柔軟な発想で問題を解決

厨房は特に工事などをせずそのまま使用し、客席と外観だけ手を加えた。大きく変えたのはカウンター席。厨房との間に取り付けてあったガラス戸を外し、オープンにした。
「一人で店を回すことを前提としていたので、料理の提供を早くすること、そして何よりお客様との会話を楽しめるようにと考え、オープンにしました」
広々と使いやすいカウンター席には、前田さんが組み立てたという椅子が並ぶ。実はカウンター席については苦労したのだという。

「内装業者に任せてしまったので、出来上がりを見たら予想以上にカウンターが高くなってしまったんです」
そこでカウンターの高さに合わせるために、椅子にはウレタン素材の手作り座布団を敷いた。厚みのある座布団は座り心地がよく、高さも気にならない。

予想外のことは他にも起きた。前のお店が消防の点検をしていなかったのか、非常灯がついておらず、急遽設置することになったのだ。さらに店が入るマンションの管理組合の審査に思いの外時間がかかり、工事のスタートが遅れてしまったという。

工事中は毎日様子を見にきていたという前田さんだが、業者とのやりとりには苦労したと話す。
「店内の照明を調光できるようにしたかったのですが、話がうまく伝わっていなかったようで、結局調光できない照明になってしまいました。話はちゃんとしたほうがいいですね」
こうして苦労もありながら工事が終了し、無事オープンさせた。

地元の競合店との差別化を図り、
一人ひとりのお客様を大切にすることが成功への道

店のコンセプトは『カラダに優しい中華』。化学調味料を使わず、ラー油や甜麺醤などの調味料はすべて手作りしている。鶏肉や野菜などの食材も基本的には国産を使い、子どもも安心して食べられる中華料理を提供する。
「この辺りは油や化学調味料を使ったボリュームがあって手頃な価格の“昔ながらの中華料理屋”が多いんです。だから、差別化するためにも『からだにやさしい中華』をコンセプトにしました」

ターゲットはアラフォー・アラサー女性。実際にお客様は女性も多く通う。また他店の中華料理は食べられない子どもも、この店の中華なら食べられるといって子連れで通うママも少なくない。定食メニューはご飯がおかわりできるので、サラリーマンの空腹も十分満たしてくれる。

お店の一番人気は『よだれ鶏』。蒸した鶏胸肉にピリッと辛いソースが絡まった自慢の一品だ。
「鶏肉に火が入り過ぎると固くなってしまうため、余熱で火を通すことで柔らかい食感を出しています」

やりがいと聞くと嬉しそうな表情で次のように話してくれた。
「お客様の声がいいことも悪いことも全部直接聞けるのが嬉しいですね。例えば、『今まで食べた中華料理の中で一番美味しい』とか、『今日はいつもよりちょっとしょっぱいね』とか。微妙な味の違いまでわかる常連さんには感謝です」

そんな前田さんだが、実はシャイな性格。少し照れながらもお客様を大切にする気持ちが表情や接客スタイルから見て取れる。前田さんはどんなに忙しくてもお客様を出入り口のところまで丁寧にお見送りするのだ。リピーターが多いのは料理の味だけでなく、こうしたおもてなしの心が伝わるからなのだろう。

今後の目標について「この辺りのみんなに『一番行きたい店』と思ってもらえるようになること。『中華料理といえばHACHI』と言われるよう頑張っていきたいですね」と笑顔で語ってくれた。

前田 将太 さん
1986年、福岡県生まれ。高校卒業後、福岡市内のホテル(現ヒルトン福岡シーホーク、勤務当時はシーホークホテル&リゾート、JALリゾートシーホークホテル福岡)にて約6年間にわたり中華料理を担当。その後上京し、都立大学にある人気店「チャイニーズレストラン わさ」や成城学園前の「墨花居 成城コルティ店」にて研鑽を積む。

中華料理HACHI
住所:中野区本町4-5-14 中野スカイマンション1F
TEL:03-6304-8178
営業時間:ランチ11:30~14:30(L.o14:00) ディナー17:30~22:00(L.o21:30) 夜10時以降入店可
定休日:火曜日
店舗情報:公式サイト食べログ