自分の目で食材を選ぶ
寿司一筋でやってきた店長の店
江戸川区・新小岩。JR線の南口を出ると、賑やかな商店街が見える。アーケードの通りをしばらく歩き、路地を右に曲がると見えてくる店。「鮨 二代目太郎」は2016年3月にオープンした寿司屋。白い壁面と明るい木材の組み合わせの和風な外観は爽やかな印象を与える。
店長の中根さんは高校時代から寿司屋で修業してきた。高校生ながら魚を捌いたり、日常ではあまり経験できないことを学べることに面白みを感じたという。しかし、役職が昇格するに伴い、調理場ではなく新店を回る業務内容になり、外に出ることが多くなった。毎日電車で彼方此方飛び回る。調理場に立つことが好きだった中根さんは、長年働いていた寿司屋を退職。新小岩にて自分の店をオープンさせた。自分の店を持つことで、中根さんの日常は大きく変わった。仕入れの段階から違う。以前はデパート内などに店舗があったので、メニューが常に決まっていた。食材もパソコンで発注すると勝手に入ってくる。現在は築地に毎朝出向かい、自分の目で魚を見て買いつける。今までの仕入れ方法とは真逆であったが、見習いの頃から培った良い魚の見極め方があるのと、今でも魚屋は前の会社の仲介さんを利用しているため、良い食材を仕入れることが出来る。
「やっぱり全く知らない人からは買いづらいですよ。先輩と一緒に買いに行ったりもしましたね。」季節によってベースとなるネタを用意して、さらにその日の旬な食材も仕入れている。鮪の卵など珍しい部位も、売り場でのコミュニケーションによって発見することも出来る。「お客様に予約の電話で『サンマが食べたい』とか仰ったら、朝築地で探してきたりしますよ。」お客様に自分の目で見つけてきた食材を提供するのは、難しくもあり、やりがいを感じられるのかもしれない。