路面電車の走る街・松陰神社前
お肉に特別な想いを持ったオーナーが開く店
東急世田谷線は、下高井戸と三軒茶屋をつなぐ全長約5km、10駅の軌道線―今では東京で2つだけとなった路面電車のひとつであり、東京23区内ながら緑が多くのどかな沿線環境で知られる。そのうち4番目の「松陰神社前」駅は、近年、昔ながらの商店街の中に、個性的なカフェや書店、雑貨屋が次々とオープンし、独特の魅力を持つ街として注目を集めている。今回訪問した「お肉ダイニンGravy(グレイビー)」は、2016年5月20日オープン、駅徒歩3分、世田谷通り沿いの路面角地店。牛、豚、鶏、合鴨、馬を和洋中様々な調理方法で食べさせてくれる隠れた肉料理の名店だ。店名の由来ともなった肉汁(=英語でグレイビー)たっぷりの牛豚あいびきの「肉汁ハンバーグ」(920円)、安心安全な生馬肉100%の「桜レアハンバーグ」(1,120円)といった看 板メニューをはじめ、肉好きだったら見るだけで興奮してしまいそうな珠玉のラインナップを揃える。15種以上を常備する国産クラフトビールや豊富なワイン類も、すべて肉料理との相性を基本に取り揃え、お肉を引き立てる野菜料理も充実。肉業態華やかなりし昨今だが、こちらの店ほどお肉を美味しく、そして楽しく味わえる店はあるまい。というのも、オーナーの岡部大資さんは、幼少時に魚アレルギーが発覚。以来、外食といえば肉料理。その経験から、「お肉をもっと日常的に楽しめる店を」とGravyの開店に至ったという経緯を持つ、生粋のお肉愛好者なのだ。岡部さんは大学時代に居酒屋でのアルバイトを始めて以来、店は変われど、一貫して居酒屋業界に在籍してきた。チェーン、中小企業、個人経営、IT企業オーナーの店等々……多種多様な店で、調理場、ホールとあらゆる持ち場を経験していくうちに、気づけばオールラウンダーとしての資質を身につけていた。幅広い調理方法、ノウハウ、発想法をこの過程で学び、長年考えていた自分の店を形にするために、満を持して独立開業に臨むことに決めた。