特集記事

近くに競合の飲食店ができた場合の対処法|したほうがいいこと、してはいけないこととは

近くに競合の飲食店ができた場合の対処法|したほうがいいこと、してはいけないこととは

飲食店を経営するうえで、流行やコンセプトなどの理由から他店と業態がかぶってしまう、つまり競合の状態は避けることができません。そのため、差別化を図ることで自分の店は「他店とは違う」ということをアピールすることもあるでしょう。しかし、その差別化を図るには具体的にどうしたらよいか、きっかけや手段がつかめない人も見受けられます。ここでは、近隣に競合店ができた場合の対処法や、差別化を図る際にやってはいけないことなどを解説します。

近くに競合の飲食店ができたらどうすればいい?

今では、ヴィーガンコンセプトのお店やカフェは、決して珍しいものではない時代となりました。この数年ではスペイン風バルやパンケーキ、タピオカドリンクなどトレンドの変化も著しく、大ブームが巻き起これば周辺にたくさんの店がオープンします。
人気フードとしてメディアが報じれば、それがトレンドになってしまいます。この結果、近くに競合店ができたらどうでしょうか。
「まねされた!」と思うのではなく、やはりこの立地が飲食店経営に最適だと判断したのだと理解しましょう。人通りなどの傾向から、あなたの店と似通ったフードを出すことが適当だったのかもしれません。
また、慌ててコンセプトの転換を行うのは時期尚早です。まずは、競合店のコンセプトなどを偵察していきましょう。自店と雰囲気が異なる店であれば、様子を見ることもよいでしょう。
雰囲気や提供フードも近いものがある場合、客が流入しやすい立地はどちらなのか、また競合店の知名度(のれん分け開店・フランチャイズ・グループ店など)などを照らし合わせて熟考しましょう。

近くに競合店ができた場合の対処法

もし、実際に近隣エリアに競合店ができた場合は、どうすべきでしょうか。いくつかの対処法が存在するうえ、経営者の手腕と機転によって逆転できる可能性も秘めています。では、ここから既存店の経営者にたどってほしいプロセスを具体的に説明してまいります。

競合店に実際に足を運んでみる

実際に競合する飲食店へ足を運び、客としてお店の調査をしてみましょう。その時には店内の雰囲気や店員の接客応対などを見ていきましょう。できれば複数名で出かけ、いくつかメニューを頼んで人気メニューの分析をしてみることもおすすめします。この時は、率直な感想を伝えてくれる人を同行者として選びます。同行者には、競合店調査だということを伝えずにおきましょう。その同行者の反応も大切な調査結果につながります。

実際に競合店調査を行うときは、複数の店舗を回ることになるはずです。公平な視点で見るために、いくつか採点項目をピックアップし点数化するとよいでしょう。チェックしたい項目として、以下の項目を例示します。

① ファサード(店舗を正面から見た時の外観)できれば外観は画像撮影をする
② 内観(エントランスや、インテリア、トイレなどにも雰囲気があるか、全般の清潔状況)
③ 店内の演出(席数や照明、BGMなど)
④ テーブルコーディネイト・カトラリー類
⑤ メニュー(メニュー表の見やすさ、カテゴリの数やその内容、メニュー数)
⑥ 客層(訪問時間帯と、客の年齢層、テーブル当たりの人数や男女比など)
⑦ 価格帯(中心価格帯・想定客単価)
⑧ 店員のサービスや接客態度(実際に声をかけて、おすすめメニューを紹介してもらうこと)
⑨ 注文後、テーブルサービスまでのリードタイム
⑩ 料理の見栄えや量、鮮度、温度、味など(店員に断りを入れて、画像に残す)
⑪ 会計から見送りまでの店員の態度
⑫ 数値化で表せない、感想など(同行者の感想なども含めて)

このほかにも、自分の視点でチェックしたい項目を増やしてみることもよいでしょう。

競合との差別化を図る

ここで、競合店の分析をしてみると、「他店のほうが優れている点」「自店の弱点」「自分の店舗にしか出せない〇〇」などがあぶりだされてくるはずです。その中で、お店の問題点を検討していきましょう。

・他店の良いところを取り入れることはできないか
・自店の弱みを克服できる打開策はあるか
・今、顧客に支持されている部分をさらに強化し引き出すことはできないか

顧客は「目新しさ」「味の良さ」「居心地の良さ」などをお店に求めます。座席の配置など、ちょっとの工夫でリピーターを確保できる可能性につなげられることもあります。
マンネリメニューであれば、新メニューを提供できないか、顧客がリピートしてくれるようなサービスを始めることができないかといった点も検討するとよいでしょう。ただし、経費を使うサービスについては、採算が取れなくなる可能性もあるため、まずは試験的に導入し、顧客の出足を見て本格導入をするなどを検討していきましょう。

競合店の分析を経て、競合店には勝てないと感じることもあるはずです。ネームバリューの大きいフランチャイズや勢いのあるグループ店になると、前評判なしで人気店になってしまいます。そんなときは、思い切って客層を変える、メニューの転換を図るといったコンセプトの見直しも視野に入れましょう。

近くに競合ができた場合にやってはいけないこと

自分が経営する店とイメージが近い競合店ができたという場合、オープン当初はどうしても客が新店へ流れてしまいます。また、新店ができたがために顧客の流れが変わってしまったということも考えられるでしょう。そんな時に自店を守るために「やってはいけないこと」を覚えておきましょう。

値下げをする

値下げを断行すると、コスパの良さを求める顧客が戻ってくることもあります。競合店対策には「競合店の競合メニューよりも価格を下げる」ことも戦略の一つです。
ただし、店の利益を度外視してしまう価格設定は、営業を悪化させる要因となるので避けましょう。
もしも、利益面をクリアして値下げを断行したとき、競合店が価格を下げるなどの値下げ競争が勃発することも考えられます。最終的に共倒れしてしまうことも考えられます。

また、リーズナブルな店へ方向転換をすると、安さだけを求める客層が押し寄せるようになります。場合によっては客層が変わるだけではなく、客の質や回転率が悪くなることもあるのです。これまで店が大事にしてきたコンセプトが台無しになり、これまでの常連客が離れてしまうこともあります。

悪い評判を言ったり営業妨害をする

インターネット上にあるグルメの口コミサイトや匿名掲示板などで競合店のネガティブな口コミを書くことや、保健所への通報などの嫌がらせや、プロモーションの仕方で遠回しに営業妨害をすることは、得策ではありません。
もし、これら一連の行為に、あなたのお店がかかわっていることが分かった場合、営業妨害で訴えられる可能性があります。係争に発展しただけで常連客を取り戻すどころか、客足は途端に遠のいてしまいます。
「たった一度の失態が、お店を廃業に追いやってしまう。信頼回復までには、これまで築き上げてきた信頼構築にかけた何倍もの時間がかかる」ということを肝に銘じましょう。

できるだけ、競合店と共存の道を検討します。例えば、「あの店にはおいしいカレーがあるけれど、うちの店にはカレーに負けないフライランチがあるよ、今日は特売日」というように競合店の肩を持ちながら自店のアピールをすることも一案です。

無理に競い合おうとしないことも大事

固定客だけでもなんとか店を回せている場合や、もともと店のコンセプトを大事にしたいなど、割り切れている店主ばかりではありません。競合店に向けた対応策を講じているうちに廃業せざるを得なくなったという結果は、本末転倒であり、本当はその必要がなかったのかもしれません。競合店に脅威を感じることもあるかもしれませんが、必ずしも競い合う必要はなく、共存をしていくことを検討する必要もあります。例えば、この店のコーヒーゼリーのファンという人を大事にするだけで、競合店と自分の店それぞれにお客が入る流れを作り出せる可能性が生まれます。

競合店の良いところを取り入れるだけではなく、競合店と「手を組む」と事も視野に入れていきましょう。ただし
「仲良しになりましょう」と申し入れる必要はありません。
限定ランチが終わってしまった場合や、満席時には競合店の存在を紹介する程度で構いません。客から「A店の紹介で来た」と言ってもらえれば、それだけで友好の気持ちが競合店に伝わることもあります。

撤退を視野に入れることが必要な場合も

競合店が新規開店または新装開店をしたことで、客足が遠のいてしまったという場合もよくある話です。一時的に「バズっている」だけの場合もあるので、少しの時間は様子見をしていきます。ただし、先述の競合店調査と分析の結果、競合店が優位であると判断できた場合はその立地から撤退することも一案です。運転資金など金銭的な余力があれば、競合店がない立地を見つけて移転することもよいでしょう。
中には「まだ大丈夫、もう少し様子見」などと、引き際を間違ってしまう店も見られます。営業するだけで大きな費用が発生します。来客がなく食材が無駄になれば、すべてが損失です。それでもお店を続ければ、自己破産の申請といった社会的信用にもかかわる事態に発展することもあります。
こうならないためにも、開業前に店舗閉鎖の意思決定につながる「撤退条件」を決めておくことをおすすめします。撤退条件を決め引き際を見極めることで、負債をより小さく抑えることができます。
連続赤字が12ヶ月続いた場合や、累積赤字が銀行借入額の何割かに達した場合、6ヶ月間連続で月の来店者数が目標に達しなかった場合などが撤退条件の一例です。

まとめ

競合店の出現で客が減ってしまうことは、お店にとって大打撃です。その中で常連を大事にすることや、コンセプトを変えて新たな顧客層を獲得するなど、いろいろな工夫を行いましょう。それでも赤字が続く場合は、潔く撤退や移転で再出発を検討することも一案です。自分たちの傷を大きく広げる前に競合店と共存することの検討を行うということも視野に入れていきましょう。


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
物件のご紹介はもちろん開業までをサポートいたします!


簡単30秒で会員登録完了!

飲食店、物販、テイクアウトなどの店舗物件をご紹介します!

記事に登録されているタグ

Copyright © 居抜き店舗ABC, All Rights Reserved.