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飲食店開業に人気の下町。今押さえておきたい東京の下町は?

飲食店開業に人気の下町。今押さえておきたい東京の下町は?

街を歩いていると「下町食堂」や「下町DINING」など、下町を冠した飲食店を多く見かけるようになった。
また、テレビでは「深夜食堂」や「孤独のグルメ」など下町ならではの食を切り口にしたドラマや、「吉田類の酒場放浪記」のようなバラエティ番組が長きにわたって視聴率を得ている。
このように、今やメディアにとって欠かせないコンテンツの一つとなった「下町」と「食」だが、飲食店開業を考えている方の中にも、下町で自分のお店を開きたいとお考えの方は多いだろう。

ただ、一言で下町と言ってもその範囲は広い。そして、そもそもどこからどこまでを下町とするかは所説ある。
今回は、そんな下町について掘り下げつつ、エリアごとに異なる需要を踏まえ、今、下町で飲食店を開業するために押さえておきたい狙い目エリアをご紹介したい。

下町のルーツ ― 江戸の町人たちが暮らした街

下町という言葉のルーツをたどっていくと、江戸時代まで遡る。

江戸時代、武士たちは高台の丘の上に住み、町人たちは海や川に近い湿気の多い土地に住んでいたそうだ。
一説によると、江戸城の見える下の町、すなわち「城下町」を略して「下町」とよばれるようになったそうだが、この町人たちが住んでいたエリアというのが下町のルーツといわれている。

江戸と言えば町人文化が隆盛した時代だが、江戸城下町における町人街は、全体の約20%ほどと狭く、現在の京橋・日本橋・神田・芝あたりに相当するエリアだった。
そうした狭いエリアにひしめき合いながら、町人たちは商売を行い、様々な文化を発展させていったのだ。

「下町」の対となる言葉に「山の手」があるが、元をたどると武士たちの住んでいた高台が現在の山の手にあたり、町人街だったエリアが下町にあたるということになる。
現在の山の手が高級住宅街であり下町が大衆的であるのは、このような江戸時代の名残からと言えるのだろう。

 

下町の定義―現代になって徐々に範囲を広げていった下町

本来の意味における下町とは、江戸の中でも、町人たちが住んでいた市街地のことを指している。また地理的な定義としては、都会にある海や川に近い低地ということになるだろう。

しかしながら、震災や戦争を経て都市化が進んだ現代の東京において、必ずしもその定義は当てはまらないようだ。上述の定義による本来の下町は、時代の流れとともにオフィス街化することで居住人口の減少が進み、郊外へと人口が流れていった。そのことが、郊外の下町化へとつながり、江戸時代には農村地帯だった現在の葛飾区や荒川区のようなエリアが、今や、下町らしい下町として人々に認識されているのだ。

つまり時代の変遷とともに、下町はそのエリアを徐々に広げてきて現在に至る。

 

東京は、どこからどこまでが下町か…?


では、現代における下町とは、どんな街を指すのだろうか。

江戸時代から下町だった日本橋・京橋・神田・芝エリアは、前述のようにオフィス街化したむきもあるが、江戸情緒ある下町らしい街並みも今なお健在だ。
そして明治に入っての区画整理で旧東京市に加えられた下谷、深川、浅草、本所なども、低地を大きく占める下町といえる。

また前述の通り、もともとは農村地帯であるため本来の定義からは大きく外れるものの、葛飾区、江戸川区、荒川区、北区、足立区、墨田区北部、江東区東部などのように、現在も古い町並みが残り、義理人情に溢れた地域社会が根付いたエリアも、現代においては下町として認識されている。
ちなみに代表的な都市でいえば、映画「男はつらいよ」でもお馴染みの柴又(葛飾区)や、もんじゃで有名な月島(江東区)、せんべろの街としても知られる小岩や新小岩(江戸川区)などがあげられるだろう。
また、最近は大田区の蒲田や大森などを下町という傾向もあるようだ。

 

今、下町に何が起きているのか。


下町の定義や、なんとなくの範囲がわかってきたところで、今度は下町の「今」に注目してみたい。
谷根千散歩や銭湯巡りなどが一般化する中で、一昔前から下町ブームという言葉を耳にするようになったが、飲食店をとりまく状況はどのように変わってきているのだろうか。そんな疑問に答えるべく、昨今の下町事情を象徴する例を2つあげてみたいと思う。

 

2015年に清澄白河にブルーボトルコーヒーがオープンしたのは比較的記憶に新しい。同店の上陸に伴い、日本にもサードウェーブコーヒーの波が押しよせたのは言うまでもないだろう。
しかし当時は、日本におけるサードウェーブの火付け役ともいえる同店の、記念すべき1号店が清澄白河だったことを意外に感じた方も多かったのではないだろうか。
ちなみに、同店のWEBサイトにはこの街を選んだ理由について、こう記されている。「清澄白河を一号店に選んだ理由は、アメリカの本社があるカリフォルニア州オークランドの環境に似ているから。街に惹かれ、数ある候補地の中からこの土地を選びました。」

ブルーボトルコーヒー1号店オープンのニュースはまたたくまに広がり、初日には夜中の3時半から開店を待ちわびる客たちが長蛇の列を作った。
それまで美術館や庭園など文化的スポットには恵まれていたものの、飲食業界においては話題性に乏しかった清澄白河だったが、これを機に、連日並んででも飲みたいと訪れる多くのコーヒー好きやカフェ好きたちが訪れ大盛況となった。

このことが大きなきっかけとなり、江戸の歴史を色濃く残す深川の街は、「サードウェーブコーヒーの聖地」として知名度をあげることになる。ブルーボトルコーヒー以外にも、「ARiSE COFFEE ENTANGLE」や「フカダソウカフェ」など個性的な店がいくつも点在し、今やおしゃれなカフェがひしめく街へと変貌を遂げたのだ。
清澄白河(江東区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報

 

この二つの街に共通しているのは、戦後闇市の名残を色濃く残す古い街並みと、いわゆる「せんべろ」といわれるような安価に楽しめる飲食店が充実していることだ。

ドラマ「山田孝之の東京都北区赤羽」で紹介され、すっかりメジャーとなった感のある赤羽(北区)では、最近昔ながらの飲み屋に加え、オシャレなバルが増え始めている。
飲み屋街を歩けば、肉屋直営の肉バル「グッドミート・バル」をはじめ、「赤羽スペインバル トレボ」や「赤バル RETZE」などワイン片手にピザやパエリアを食べられるコスパの良いバルが盛況なのだ。
それらの店は一昔前まで赤羽に訪れることのなかった女性客の呼び水となっているようだ。
また、2017年に東洋大学赤羽台キャンパスが開校されたことで周辺に若年層の居住者が増えたのも大きい。そのことにより、街に訪れる世代のレンジが広がった。
また、訪れる客層だけでなく、スタッフの若年層化なども目立ち、今赤羽は様々な世代が入り交じる活気ある街へと変わってきている。
赤羽(北区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報

 

一方、これからの変化が注目されているのが立石(葛飾区)だ。呑んべえ横丁や立石デパートなど昭和レトロな街並みが哀愁を誘う立石は、その下町らしい雰囲気からファンの多い街だ。
もつ焼き「宇ち多゛」や、立ち食い寿司「栄寿司」など昔ながらの佇まいながら、行列のできる名店も数多い。赤羽同様、駅周辺の狭い範囲に呑み屋が充実しているほか、八百屋や惣菜屋など懐かしい商店街にもファンが多い。
そんな立石では、防災の観点から現在再開発事業が進展中だ。
まずは2019年着工で駅の北側に高層ビル2棟が建設される予定だが、街の安全性向上と昔ながらの街並みの維持をどう両立させるのかに注目が集まっている。

 

今、飲食店を出店するならここ。注目の下町をご紹介

古くから製造・卸業の集積地として知られてきた御徒町・蔵前だが、近年、この二つのエリアは「カチクラ」と呼ばれ、若い人たちによるモノづくりの街として盛り上がりを見せている。
多くのクリエーターや職人が、アトリエや店舗を構えるために集まることで街に活気を呼び込んだのだが、その流れの中で、おしゃれなカフェや飲食店なども増えてきている。
サンフランシスコ発祥のクラフトチョコレート会社「DANDELION CHOCOLATE(ダンデライオンチョコレート)」が、日本進出1号店として蔵前を選んだのも記憶に新しく、今や蔵前は前述の清澄白河と並び、カフェ開業のトレンドとなりつつある。
賃料も比較的リーズナブルなため、初めて店舗を持つ個人開業の飲食店オーナーにもおすすめの街といえるだろう。

平均坪単価:15,901円
坪単価の推移:2016年~2017年にかけて上昇するも現在は横並び
業態の傾向:和食が最も多く、次いで洋食・居酒屋/ダイニングバー・カフェと続く

蔵前周辺の居抜き物件一覧
蔵前(台東区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報

 

2020年に控えたオリンピックは、飲食店にとっても影響力の大きいイベントだ。開催期間中は、外国人のみならず、大会を支えるボランティアや日本各地から訪れる観戦者たちが集まり、高い経済効果が期待できる。
会場となるのは国立競技場のある新宿区を除いて、勝どき、晴海、有明、豊洲などの湾岸エリアに集中している。
なお選手村となる晴海には、5,650戸の住宅が建設される予定だが、オリンピック終了後は分譲マンションとして販売されることが予定されており、1.8万人もの人口増加が見込まれているのだ。
周辺の月島・佃・勝どき・豊洲などのエリアも含め、ファミリー向けの飲食店の需要がよりいっそう高まりそうだ。

湾岸エリアの居抜き物件一覧
月島(中央区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報
築地(中央区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報
木場(江東区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報

 

飲食店開業に適した街選びをするには、再開発の動向にも注意しておく必要がある。京橋エドグランの竣工も記憶に新しい東京駅周辺エリアは、現在再開発ラッシュだ。
特に日本橋エリアでは5つもの大規模な再開発プロジェクトが検討されている。中でも現在すでに概要が発表されているのが「日本橋一丁目中地区再開発プロジェクト」だ。
COREDO日本橋の改修のほか、地上51階、高さ287mの複合ビルが建設されようとしている。
現在日本一高いビルとして知られる大阪あべのハルカス(300m)、2番目に高い横浜ランドマークタワー(296.33m)に次ぐ高層ビルの建設となり、東京駅周辺の新たなランドマークとしても注目が集まるだろう。ちなみにこちらのビルの着工は2021年、竣工は2025年を予定している。

平均坪単価 28,463円
坪単価の推移 上昇傾向
の業態の傾向 和食店や居酒屋が多いが、最近ではカジュアルな飲食店も増加中

日本橋周辺の居抜き物件一覧
日本橋(中央区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報

 

昨今、市場規模の縮小が騒がれる外食産業において、インバウンド需要の増加は市場拡大につながるチャンスだ。
そういう意味では、国内を代表する観光地であり、毎年たくさんの観光客が訪れる浅草には競合も多いが、その分ビジネスチャンスもたくさんあるといえる。
しかも、安定した需要の割に賃料もそこまで高いというわけではないため、開業にはおすすめのエリアだ。
昨今のインバウンド需要も相まって、キレイでオシャレなホステルなども増えている浅草だが、観光客のニーズも一昔前とは異なり多様化してきている。それらのニーズをいかにくみ取れるかが重要なポイントになるだろう。

世界各国からのお客様を日々迎え入れている街ゆえに、浅草では、ヴィーガンやハラールなどの需要も高い。
例えば、動物性の油を一切使わない創作ビュッフェ「かえもん 浅草本店」や、ハラール・ヴィーガン・アレルギーなど様々な食の制限に対応している「セカイカフェ」など、最近では、インバウンド需要を見据えた多様な食のニーズに応える飲食店も増えてきているようだ。

平均坪単価:20,944円
坪単価の推移:上昇傾向
業態の傾向:和食店に次いで居酒屋が多く、その次に洋食やカフェが多い

浅草周辺の居抜き物件一覧
浅草(台東区)で居抜きで飲食店を開業するための街情報

 

 

 

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