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コロナ禍の気になる飲食店出店状況【2020年度 年間レポート】

コロナ禍の気になる飲食店出店状況【2020年度 年間レポート】

「飲食店を開業したい!」「もっとお店を広げたい!」
「でも、こんな時期に大丈夫なのか…?」

新型コロナウイルス感染拡大により社会環境が目まぐるしく変化する昨今。
飲食業界においても営業の自粛や時短要請が発令され大きな影響が及ぶ中で、開業・出店に対しての不安を募らせている方が多いのではないでしょうか。また、出店に足踏みをしてしまっている方もいることでしょう。

私たちABC店舗は、コロナ禍でも飲食店開業を目指す皆様と飲食業界を応援。こうした状況下でも開業・出店を志し、ご契約に踏み切った方々の実態を調査し、発信していきます。

今回は、新型コロナウイルスが感染拡大を始めた2020年3月からちょうど1年が経過したということで、この1年間で外食市場がどのように変化していったのか、ABC店舗の物件ご契約者様の出退店状況をもとに振り返ります。

コロナ禍の気になる飲食店出店状況レポート【2020.03-2021.02 年間レポート】

■調査概要
調査対象:2020年3月~2021年2月の解約者および契約者
調査期間:2020年3月~2021年2月
調査方法:アンケート調査、ヒアリング調査

1.解約/契約件数推移

はじめに、解約件数および契約件数の全体推移を見ていきます。
2020年3月より新型コロナウイルスの感染拡大が進行し、第1次緊急事態宣言が発令された4月。解約件数が前月比約2倍と、ひと月で30件以上の数値を記録しました。
そして、緊急事態宣言が明けた6月。売上不振から閉店が相次ぐ状況下で不安を膨らませる出店希望者が、回復時期の不透明さから出店を踏みとどまっていた様子が契約件数の推移に顕著に表れています。
その後、7月には家賃支援給付金、10月・11月には「Go to Eat」「Go to Eat Tokyo」等、政府自治体による事業支援が施行。あわせてテイクアウト・デリバリーといった販路拡大と店舗ごとの創意工夫により、解約件数は2020年3月を下回る数値まで落ち着いています。契約についても、コロナ以前の件数までは及びませんが、大幅な変動なく比較的安定化しています。
依然として先行き不透明な状況は続いていますが、今後、アフターコロナを見据えた出店が増加し、コロナ以前とは違った形で外食市場全体も回復していくことが予想されます。

2.出店者属性

出店規模

1店舗のみの出店者は新型コロナウイルスが即時に打撃を与え、資金力の小さい新規開業者は閉店、大型物件での出店者は小型物件へと移転を余儀なくされました。その結果、解約件数は一時的に大きくなりました。複数店舗出店者も同様な推移で規模縮小が図られました。
以降は高水準ではありますが徐々に減少し、2月時点ではコロナ以前と変わらない件数まで落ち着いています。
複数店舗出店者については、業態や立地によって明暗が分かれており、売上好調である出店者の増店が9月以降多く見受けられました。また、同時期から本業の補填や転換を目的に飲食業界へと参入し、事業の多角化を狙う企業も増加しました。

業態

業態についてはコロナ禍で需要変動の大きかった業態2つに着目します。

【1】居酒屋/BAR・バル・立ち飲み屋
外食市場の中でも特に打撃を受けたのが、酒類提供をメインとする飲み屋店舗。
度重なる営業自粛と時短要請により、通常であれば来客のピークであった夜間には営業ができなくなり、食卓人数の制限やリモートワークの普及からもビジネスマンの集客に苦戦を強いられる状況となりました。
結果、5月以降の居酒屋、BAR・バル・立ち飲み屋の解約件数は増加し、年間を通して高い水準で推移。全体割合では33%と、全業態の約3分の1を占めるまでに至っています。
一方の契約件数について、居酒屋での出店は9月に一時回復するも時短要請が再度なされると大きく減少。夜間営業の厳しさから出店希望者のヒアリングにおいても希望業態として耳にすることが少なくなりました。
ただし、BAR・バル・立ち飲み屋の業態に関しては少し違います。10月以降「ダイニングバー」を出店業態とする契約者が増加しており、月別での出店件数では居酒屋を追い越し、契約件数が安定化しています。
要因としては、
➀宴会やグループでの飲み会に制限がかかる中で、おひとり様需要が増加。それに伴い、カウンター席の活用にも注目
➁費用等のリスク回避から小規模の物件が好まれている
➂ダイニングバーは括りが広く、料理の幅や食事のシーンが縛られない

以上3点により「ダイニングバー」での出店が増加しました。

また、以前『コロナ禍でも強い焼肉業態!飲食店に逆風が吹き荒れる中でも人気の理由とは?』の内容としても取り上げましたが、「居酒屋」から「焼肉」へと業態転換したワタミのように、居酒屋業態が別業態で新たな集客を狙う動きは今後も出てくるのことも予想されます。

【2】テイクアウト/セントラルキッチン
新型コロナウイルス感染症対策の観点から、店内での食事が避けられる中で、消費者のテイクアウト・デリバリー需要が高まっていることに関しては、当コンテンツでも度々お伝えしてまいりました。
しかし、テイクアウト専門店としてはさほど出店数が伸びていません。
この要因としては、出店者がイートインを主とした営業体制での長期経営を目指し、テイクアウトやデリバリーは販売手段の一つとして捉えていることがあります。
また、「ゴーストレストラン」「バーチャルレストラン」と呼ばれる実店舗を持たない飲食店が広がりをみせていることから、セントラルキッチンとして出店されるケースが増えてきました。12月以降は毎月ゴーストレストランとしての契約があり、コロナ以前には見受けられなかった傾向として注目すべきポイントです。

3.物件要素

賃料



飲食店の集客に逆風が吹き荒れる状況と比例し、多くの方々が気にするようになったリスクが「コスト」です。
中でも、家賃は飲食店経営において最大のコストにあたるといえます。
賃料別にみていくと、
【51万円以上の物件】
多店舗経営者の店舗集約と新規開業者の開業3・4月で解約件数が大幅に膨れるも5月以降は減少し、2月現在では解約件数が0件まで落ち着きました。一方の契約件数としては、3月より件数が極小。高価格物件に対する出店者のリスク回避が伺えます。

【36万円~50万円の物件】
3月より約半年間は解約件数大幅変動するも、10月以降は減少傾向。契約件数については、3・4月全体比4割と比較的高く契約の中核層であったことに対し、5月は以降2割まで減少しています。

【26万円~35万円の物件】
コロナ以前まで契約件数の多かった金額層ではありますが、3月以降解約多数、契約の方も一定数を超えずに推移しているため、空き状況が続いています。

【16万円~25万円の物件】
4月以降は解約が相次ぎ全体比3割以上と大きく占めていました。しかし、契約件数については8月以降は解約件数を上回る数値を記録しており、出店者が想定する家賃として最も多い金額層となっています。

【15万円以下の物件】
解約件数については、8月以降は低水準で推移。一方、小規模物件の需要が伸びている中でも契約件数は大きく増加していないことがわかります。上記の【業態】項目でお伝えしたように、テイクアウトではなくイートインを営業主体とする店舗が想定されていることが数値に表れているといえます。

階数

階数別の解約件数では、おおよそ解約全体件数の推移に準じて4-5月、9-10月において高い数値となっていますが、地下1階の店舗は逆の推移を示しています。第1次緊急事態宣言や時短要請がなされていない7-8月・11月に最多件数となっており、地上階が一時的に回復を見せる中でも地下階は集客へ苦戦していることが伺えます。
また、契約件数については1階での契約が6割強を占めていますが、8月以降空中階の物件が出店増加傾向となっているのが注目ポイントです。

出店状況レポート【12月度】でもお伝えしましたが、以前までは「駅近」「1階」「路面」物件が人気物件・希少物件として評されていました。しかし、外出自粛でのテイクアウト・デリバリー普及や電車利用の減少が影響し、コロナ禍となってその価値は大きく低下。その結果、空中階も物件の選択肢として検討されるようになりました。

一方で、地下階については検討対象外とする出店者が増えています。十分な換気が取れないとして感染対策と集客の面から懸念が強い為です。
今後も飲食店にとって”感染対策”というのはキーワードになってくるので、同様な傾向がみられると予想されます。

坪数

坪数別の解約件数では、階数同様におおよそ解約全体件数の推移に準じて4-5月が山場となっており、新規開業者が契約のメインであることから10-20坪の小規模物件が多く解約となっています。しかし、契約件数の推移をみると大きな増減なく比較的安定した数値を保っている為、出店者にとって需要が高いサイズ感といえます。20坪以下の小規模物件は、コストやオペレーションの面で開業・営業がしやすくリスクが抑えられることから、今後さらに出店が伸びていくと予想されます。

エリア(駅)

エリアついては、解約数、契約数の多かった上位3位をみていきます。
まず、解約の多かったエリアとして、ワースト1位に「浜松町」、2位に「人形町」とビジネスマンが主要ターゲットとなるエリアがランク上位に並んでいます。コロナ以前までは人気エリアとして多くの出店希望者がいましたが、コロナ禍で状況は一変。多くの企業が在宅勤務やリモートワークを導入し、エリア人口が大きく減少。その結果、集客が困難となり売上不振でやむなく解約となる出店者の方が多くありました。
一方で、コロナ禍でも契約の多かったエリアが「五反田」や「門前仲町」等の住宅街が混在する都内主要駅。外出自粛要請により消費者の行動範囲は住居周辺にとどまり、住宅街での飲食店利用が増加。そうした変化を新たなチャンスと捉え、住民をターゲットとする出店者が多くありました。現在では、アフターコロナを見据えて、「ビジネスマン+住民」「学生+住民」といったように、サブターゲットに住民を位置づける出店者が増えてきています

おわりに

コロナで始まり、コロナで終わった2020年度。
人々の生活が大きく変わり、飲食業界も大きく変わっていきました。
今回、年間を通じて振り返ってみると、人気エリアが逆転したり、物件の重要要素が変化したりと、物件選びの判断も一層難しくなったといえます。
まだまだ不安定な状況は続きますが、2021年度もABC店舗では、開業・出店を志す皆様を全力でサポートしてまいります。

コロナ禍でも強い傾向!住民の集客を見込める「商店街沿い」の物件


Written by 飲食店の居抜き物件なら!居抜き店舗ABC
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